きのうのこと
せっかくの休日に早起きして、朝からギターを弾く。
せっかくの休日、一日を最大限有効に使いたかった。そう思うと多少の早起きは苦ではないし、なぜか目覚まし時計よりも先に目を覚ます事ができる。
溜まった洗濯物よりも先に、溜まったメロディの断片を紡ぐ作業がしたかった。
何日も前から、今日は曲を仕上げようと思っていた。
先日、下北沢で18箱もの勝利を積み上げた「余り玉」と引き換えたカロリーメイト(メープル味)を頬張りながら、iphoneのボイスメモに録り溜めた曲の断片達と向き合う。
時間の経過とともに、俺の猫背はさらに角を丸めていき…
最終的に円を描くような形になり…毛布に付着する綿埃となって眠ってしまった。
人生、そううまい事ばかりは続かないのだ。
こういう時は眠ろう、これは諦めではない。勝利のための睡眠。
戦略的撤退、というやつだ。大丈夫、すべてうまくいってる。
夕方からは急遽、塚野と二人でスタジオに入った。
日中紡いだメロディを歪んだギターとリズムに合わせて歌ってみたり、先日作った新曲のアレンジを考えてみたり。
塚野と二人でスタジオに入るときは基本的にノープラン。それが良い。
時には突拍子もない曲やフレーズが出来たりもするし、新しい発見もある。
二人でスタジオに入ると、十中八九アルコールを接種しながらの演奏になる。
ビールを飲みながらスポーツしてるようなもんだ。
けど不思議と気分が良い、ものの1時間で良質な酔っぱらいが生まれる。
昨日はアルコールを接種してないにも関わらず、酔っぱらった。
日中の苦労が嘘のように、あっという間に曲が出来た。
どんな曲かはまだ他のメンバーにも聴かせてないけど、スタジオが終わったら胸を躍らせながら、急ぎ足で塚野のマンションへ向かうくらいの曲になったよ。
キリンクラシックラガーを開けて、乾杯をして…ワクワクしながらiphoneにスピーカーケーブルを接続して、ボイスレコーダーを起動する。
あの瞬間のワクワクは、子供の頃に大好きだったアーティストのCDを開封して、CDデッキにCDをセットする瞬間の高揚感に似てる気がした。
残念ながら録音をした場所が悪かったのか、録ってた音のほとんどがハイハットにかき消されてしまっていたけど、何も問題はない。記録には残らなかったけど、記憶にばっちり刻まれている。
気を良くした二人は、その後さらなるアルコールを求めて夜のすずらん通りに消えていったけどね。